業界別の吸音知識

保育園・幼稚園の騒音問題と防音対策

近年、保育園の騒音問題により、新規の保育園や幼稚園の建設が頓挫する、近隣からうるさいとクレームがくるなど保育環境から生まれる騒音問題が話題になっています。それらの多くは住宅地に隣接した保育園に多くみられます。この問題はひと昔前には一切聞かなかったと思います。また、近隣への騒音問題以外にも保育園・幼稚園の室内側の反響音の問題も多くなっています。今回は保育園・幼稚園に関わる音問題について考えていきます。

人間は子供の声が気になる?

生活している中では色々な音が耳に入ってきますが、その音には様々な種類があります。声などの空気音、電車などの振動が起こす振動音などです。人間の耳には音に敏感な周波数帯が存在します。人間が一番敏感な周波数は4,000Hz周辺の音です。簡単に言うと赤ちゃんの泣き声がその周波数帯にあたります。赤ちゃんの泣き声のような甲高い音を人間が最も気になるというのは赤ちゃんが親に緊急事態を伝える手段として理にかなっています。成人の声(男女)の周波数帯は500Hz~2,000Hzと言われているので、赤ちゃんの泣き声が特徴的なのがよくわかります。

保育園・幼稚園の騒音問題と防音対策

海外の保育園騒音事情

日本以外の国にももちろん保育園同様の施設があり、同じように子供たちの声が存在します。それでは国外の事情はどうなのでしょうか。例えばドイツでは保育園や遊び場での子供の声は騒音には当たらないと法律に明文化されています。法律で明文化してある以上、日本で起こっているような問題にはなりません。このドイツの法律も2011年に改正させたまだ新しい法律と考えると、法律ができる前までは日本と同じような状況があったかもしれません。

保育園や幼稚園の騒音対策

保育園や幼稚園がある場所は様々です。住宅地にオフィス街など場所によって騒音対策もいろいろあります。住宅地にある場合は近隣住宅との間に防音壁を建てて騒音対策をしているケースやオフィス街にある場合は下階への振動を抑えるため、浮き床にしているケースなどもあります。保育園や幼稚園の場合、一時的な騒音対策ではなく恒久的な対策となるため費用がかかってしまうが、周りの環境を考えると対策を講じているところも多い。しかし、近隣からのクレームになり易い音漏れに関しては意識が行きやすいが、園児や保育士さんがいる室内側の音への意識はまだまだ低いのが現状です。

保育園・幼稚園の騒音問題と防音対策

室内の騒音問題

保育園や幼稚園の音環境改善は外への対策だけではありません。室内にいる園児や保育士さんへの対策も必要です。上記でも述べたように園児の声は人間の耳が敏感な周波数帯です。その敏感な声(音)に1日何時間もさらされている園児や保育士さんの耳への悪影響も間違いなく存在します。園児であれば難聴予備群に、保育士さんであれば音から来るストレスなどが考えられます。室外への対策も必要だが、室内への対策も併せて行う必要を強く感じます。子供を預かる施設として音環境への配慮もこれからは必要になっていきます。またその音環境への配慮が他園との差別化となり、より良い保育園・幼稚園作りによいサイクルが生まれてくればよいと思います。

室内反響音への対策

室内の音が過度に反響する原因はとても単純で室内に吸音する素材が少ないからです。建築時に床・壁・天井の仕上げに吸音性能が無いものが使用し、窓などの音の反射が強いものが広く使われてしまうと、その室内には過度な反響音が残ってしまいます。過度な反響音が残っている場合、室内側に吸音性能があるものを増やすことにより室内の反響音を低減することができます。音を反射し易い壁に吸音パネルを貼ることによってその壁自体が反射面から非反射面へと変わります。室内の面積・容積に応じて非反射面を増やすことが過度な反響音が残っている空間への対策となります。

保育園・幼稚園の騒音問題と防音対策

教育現場での導入事例

教育現場での導入事例をご紹介します。教室内は過度に音を反響させる素材が多いですが、それに負けない吸音力を発揮し、ご満足いただいております。

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