吸音の知識

防音とは

(防音という言葉の中には吸音、遮音、防振、制振の4つの意味がございます。)

防音と聞くと音を漏らさないようにする、音が入らないようにするなどのイメージが強い方が多いと思いますが、防音という言葉には吸音、遮音、防振、制振を含んだ総称として防音という言葉があります。音漏れ対策をする遮音工事も防音、反響音対策をする吸音工事も防音ということになります。

より良い防音とは

防音の中でも空気音に対して効果を発揮する遮音と吸音は音環境を整える意味でとても重要な要素になります。例えば音漏れ対策だけをしっかりとした室内ですと音が室内から抜けることがないので、逆に室内に過度な反響音が残ってしまいます。反響音対策だけをしっかりとした室内ですと音漏れし放題の空間となってしまいます。幼稚園・保育園、オフィス、公共施設など色々な用途の建物があるが、遮音と吸音をバランスよく施すことにより、よりよい音環境が整えられます。

吸音の仕組み

吸音の仕組み

吸音とは

吸音とは音(空気音)が吸音材を通過した際に、吸音材の中で音エネルギーが摩擦による熱エネルギーに変換され音が減衰することを言います。素材の中で摩擦熱が起こり、減衰する仕組みではありますが、吸音材自体が発熱することはありません。ほとんどの吸音材は多孔質素材で空気を通す素材でできています。多孔質である理由は音が素材の中に入り込まないと吸音効果を生まないことによるもので、逆に多孔質では無いものには吸音効果が低いとも言えます。

吸音率とは

吸音材の性能を表す吸音率とは吸音材に音を当てた際に生じる入射音から反射音を引いた数値のことを言います。簡単に言うとその素材がどれだけ音を反射させないかという数値に言い換えられます。例えばある素材の2,000Hzの吸音率が0.8だったとすると、2,000Hzの音を80%は通すが、残り20%は反射するということになります。しかし勘違いしがちなところが80%の音を通すということであって、80%の音を消すわけではありません。

残響時間とは

残響時間とは発せられた音が60㏈減衰するまでにかかる時間を表した数値になります。
残響時間(秒)が短いほど室内の反響が少ないことを表します。

残響時間とは

上記、グラフを読み取ると250Hzの残響時間が1.0秒、500Hz以降の残響時間が0.75秒ということが分かります。このように各周波数帯の反響具合を可視化することができ、それにより反響音対策を具体的に立てやすくなります。

吸音材が使える環境

  • オフィス(会議室内の反響音低減、テレビ会議のハウリングの防止など)
  • 教育現場(幼稚園・保育園内の室内騒音レベルの低減)
  • オーディオルーム、シアタールーム(過度な反響音の低減)
  • 店舗、飲食店(会話の反響音低減)
  • コンサートホール(音響設計)
  • 工場、物流センター(機械騒音の低減)

遮音の仕組み

遮音の仕組み

遮音とは

遮音とは音を遮音材によって遮り、外部からの侵入、外部への漏えいを防ぐことを言います。
簡単に言うと音を通さず、跳ね返すことが遮音です。遮音材はその材質や質量によって遮音する周波数が変わっていき、低音などを遮音する場合は質量が必要な場合が多い。

透過損失とは

遮音材の性能を表す透過損失とは入射音から透過音を引いた数値のことを言います。簡単に言うとどれだけ騒音値(dB)を低減できるかを表した数値です。例えば特定の周波数帯で入射音を100㏈とし、透過音を80㏈であった場合、その遮音材の透過損失は20㏈ということになります。 こちらも吸音率と同様に各周波数帯によって透過損失の数値が違うのでどの周波数を遮音したかによってその遮音材の使い方が変わります。

空気の流れと遮音

音は空気の流れがあるところから入ってきます。よって空気の流れが存在する=音の出入りも存在すると考えて間違いありません。住宅などで音が出入りする場所としてドア・窓などの開口部、給気口、換気扇などが考えられます。特にドアや窓はその製品の仕様や性能によって音の漏れ方が違ってきます。ドアの場合、ドアの内部の仕様とドアを閉めたときの密閉性が重要となります。内部にしっかりと遮音材などが詰められていたとしてもドアと枠との密閉性が低いとその隙間から音が漏れます。窓の場合、窓の仕様とこちらも閉めたときの密閉性が重要になります。ガラスが1重ガラスよりもペアガラスの方が遮音性に高く、それよりも2重サッシの方が遮音性に高い傾向にあります。ドアと同様に閉めたときの密閉性が低いと隙間から音が漏れます。最近の住宅は高気密・高断熱をうたっているところが多く、ペアガラスが採用されており、遮音性能は高くなっております。

遮音材が使える環境

  • オフィス内の隣室への音漏れ防止
  • ピアノ室の近隣への音漏れ防止
  • スタジオ内の音漏れ防止
  • 近隣への音漏れ防止
  • 外部からの騒音侵入防止
  • 工場内での騒音対策

防振の仕組み

防振の仕組み

防振とは

防振とは物体A(衝突する側)と物体B(衝突される側)の間に防振材を施し、物体Aと物体Bとの衝突する際に起きる振動の伝わりを少なくし、固体音を低減されることを言います。簡単に言うとクッション材の役割を担うのが防振材と言えます。防振材の多くは柔らかいものが多く、衝突する時の力を和らげる目的で使用されます。

マンションの上階の音

マンションの上の階の足音や物音が気になるという騒音問題は昔からよく聞く内容です。これは足(衝突する側)と床(衝突される側)の衝突で起こる振動が床を通じて下階へ固体音として伝播する現象により生じます。固体音の伝わり方はマンションの床の仕様によって変わってきます。床構造として代表的な仕様は以下になります。

【2重床】

コンクリートスラブ(躯体)と床フローリングの間に空間を取り、コンクリートスラブとの接点を少なくする方法です。

【直床】

コンクリートスラブ(躯体)の上に下地調整材を使いそのまま床フローリングを敷く方法です。

上記、2つの方法ですと2重床の方がコンクリートスラブ(躯体)と直接床フローリングが接していないので衝突で起こる振動が伝わり難くなります。直床の場合はコンクリートスラブ(躯体)と直接接しているので衝突で起こる振動がそのまま伝わり易くなりますが、床フローリングをクッションフロアなどの衝撃を和らげるものを使うなどの方法により、下階へ伝わる音を低減することもできます。
下階への振動音を簡単に低減したいのであればコルクマットやクッション性のあるジョイントマットをフローリングの上に敷くのも効果が得られます。

防振材の使える環境

  • マンションの階下への振動音の低減
  • モーター音などの低音の低減

制振の仕組み

制振の仕組み

制振とは

制振とは物体A(衝突する側)が物体B(衝突される側)と衝突した際に物体B側に制振材によって衝突が原因で起きた振動を吸収し、それにより物体Bから発生する固体音の発生を防ぐことを言います。簡単に言うとトライアングルを鳴らした際に手で押さえると響きが無くなる現象と同じで、押さえる手が制振材ということになり、響いている(振動している)物体自体を響かなくする(振動しなくする)のが制振材の役割です。

洗濯機の稼働音

洗濯機の稼働音は中で洗濯槽が回転する力が外側のカバー自体に伝わり、振動して音が発生します。そのカバー自体に制振材を貼り付けることにより、カバーが振動することを低減させ、振動から出る音を低減することができます。このように振動している物体自体に制振材を貼り付けて対処するのが制振材です。

制振材の使える環境

  • 洗濯機の振動音の低減
  • 金属のビビリ音の低減
導入前に吸音パネル
設置の効果が分かる!